世界遺産の地、那智山青岸渡寺様にて、永代供養墓を建立
こんにちは。三重県・和歌山県南部にてお墓のお仕事をさせていただいております、湊石材店の湊です。和歌山県那智勝浦町の青岸渡寺様にて、古代型五輪塔を備えた重厚な永代供養墓を建立させていただきました。
和歌山県那智勝浦町 那智山青岸渡寺様 永代供養墓 インド産アーバングレー
今回ご依頼をいただいたのは、和歌山県那智勝浦町にある、那智山青岸渡寺様です。熊野三山のひとつでもある那智山は霊場として大変長い歴史があり、青岸渡寺様は西国三十三所観音霊場の第一番札所にも数えられる、とても歴史あるお寺様です。2004年には、熊野那智大社や那智の大滝とともに「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界文化遺産に登録されています。まさに、日本の聖地ともいえる場所です。
お寺にはすでに永代供養墓がありましたが、納骨スペースが少なくなってきたということで、ご住職様から新しい永代供養墓の建立をお話いただきました。

こちらは建立予定地です。奥に歴代のご住職様方が眠られている墓地の一角で、お写真手前側の開けたスペースを活用させていただくことになりました。

建立する永代供養墓については、デザインや配置、使用する石の種類など、入念にお打ち合わせをさせていただきました。現地にこのように原寸大でサイズ感や配置が分かる模型を作成し、ご覧いただきながら詳細を決めていきました。

いよいよ工事のスタートです。まず、参道から墓地へ上がるための階段を新たに作成するため、既存の玉垣とその下の間知石を取り外していきます。こちらの墓地の入り口は少し離れたところにありましたので、永代供養墓の目の前に新たな入り口を作成することになります。

一段目を残して、その上の間知石を取り外したら、一段目の階段になるところにコンクリートを打ちました。幅約3メートルという、ゆったりとお参りいただける広い階段です。

階段の登り口の2段目を据えたところです。階段の石材には、もともとあった間知石を可能な限り再利用しています。

2段目の上に御影石の3段目を積みました。こちらは最後に石貼りをして仕上げます。階段がおおよそ完成し、次は永代供養墓の工事を進めます。

まずは、永代供養墓の納骨室を作成します。今回は特に大きな納骨室が必要でしたので、地面を深く掘り下げていきます。

少し離れてみると、このような広いスペースです。工事中は、天候が変わっても影響がないようにテントを張って作業しました。

十分掘り下げたら、土台となる基礎コンクリートを打ちました。

基礎がしっかり固まったら、納骨室の壁を施工していきます。コンクリートブロックに太さのある鉄筋を入れてしっかり固定します。

縦方向とは別に横方向にも鉄筋を入れ、しっかりセメントで固めて強度を高めています。土圧や地震の揺れにも耐えられる、強度の高い構造にしました。

納骨室がだいたい完成したら、周りに外柵を据えるための基礎を打ちます。鉄筋を配置し、コンクリートを打っていきます。

基礎の上に外柵を据えて、さらにその内側にもコンクリートを打ちます。地固めをしてからワイヤーメッシュを入れています。外柵は角の部分にL字の耐震金具を設置し、石がズレたり開いたりしないように固定しています。

コンクリートを打ってから石貼りを行いました。納骨室の上に、お墓の土台の石も設置したところです。こちらも角の部分にはL字金具を設置し、コンクリートブロックとも連結しています。

お墓の完成が近づいています。納骨スペースの手前に、古代型の五輪塔を据えています。

こちらが納骨スペースです。扉が3方向にあり、スペースにバランスよく納骨できるようになっています。底には白い玉砂利を敷き詰めました。
最後に入り口階段の石貼り工事を行いました。板石を貼って、目地を打って仕上げです。

完成です!堂々とした佇まいの永代供養墓です。

階段を上ると、まずは踏み石の向こうに古代型五輪塔があります。その奥の巻き石の舞台の上に、広いスペースを配置しました。巻き石の周りは伊勢砂利を敷いて仕上げました。
お墓のシンボルとして建立したのは、「古代型五輪塔」です。古代型五輪塔は様々な五輪塔の中でも歴史のあるもので、本来のお墓の形ともいえる象徴的なものとして建立しました。


表面を「ビシャン叩き仕上げ」という伝統的な技法で仕上げました。細かい凹凸が自然な風合いを感じさせる仕上げ方法です。梵字には金箔を施しました。

納骨スペースはすっきりしたデザインながら、落ち着いた色合いのアーバングレーが重厚な印象を与えます。納骨扉はすべてに錠前を取り付けて防犯面も配慮しました。

歴代のご住職様のお墓と続く場所に完成し、まさに永代に亘ってご供養が続けられるのにふさわしいお墓になりました。
那智の滝を背景に抱く、青岸渡寺の三重塔です。今回の工事場所からは見えませんが、お寺全体が自然に抱かれ荘厳な空気が漂います。

完成したお墓をご覧になったご住職様からは、「本当に良い永代供養墓ができた」と、大変温かいお言葉をいただくことができました。このような歴史あるお寺様で、これから多くの方々がこの場所で眠られ、お参りをされ続けていく、未来永劫残る大切なお墓づくりに携わらせていただけたことは、石材店として大変光栄に感じております。改めまして、工事をお任せいただきましたことに感謝申し上げます。これからも、弊社でお役に立てることがございましたら、お手伝いさせていただければ幸いです。
今回工事をさせていただいた場所 青岸渡寺様の詳細をご紹介します。
「那智山青岸渡寺」(公式ホームページ)
所在地: 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山8番地(マップ)
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