新宮市熊野川町にて、「筏師の道」道標を設置

こんにちは。三重県・和歌山県南部にてお墓のお仕事をさせていただいております、湊石材店の湊です。今回は、新宮市熊野川町に「筏師の道」道標を設置するお手伝いをさせていただきましたので、ご紹介いたします。

 

新宮市熊野川町  「筏師の道」道標

 

熊野川の上流にある北山川流域は、有数の木材の産地として林業がとても盛んでした。当時、山間部で伐採された木材は筏(いかだ)を組んで急峻な川を下って下流へ運搬されて、大阪や東京などの大都市に出荷されていました。熊野川の河口にある新宮市は、その中継地として栄えた地域でした。筏を組んで運んでいた筏師(いかだし)さん達は、新宮までの運搬を終えたあとは、徒歩で山間部の集落へ戻ります。今回道標を建立させていただいた「筏師の道」は、そうして筏師さん達が下流から山峡の自宅まで歩いた山間の道のことです。近年は、その道がウォーキングコースとしても整備されています。

今回は、嶋津という地域で「筏師の道」の保全をしながら、語り部やガイドをされている方からお話をいただきました。昔その方のおじいさんも筏師をされていたそうです。以前ガイドをお願いしたこともあり、お家のお墓もずいぶん前になりますが建立させていただいたというご縁があります。

 

彫刻を終えたところです。内容は、ご依頼いただいた世話人の方からご指定いただいたもので、文字は当社でご用意しました。表には、方向と行き先を、そして筏道の由来や歴史が感じられる言葉が添えられています。完全な自然石を使うことも考えましたが、地元で採れる石は柔らかい石になるので、耐久性の高い御影石を自然風に加工して仕上げました。

 

いよいよ除幕式です!

ここまでは車が入れないので、車の場所からは運搬機で運びました。依頼いただいた世話人さんのほか、保全やガイドをされている皆様、速玉神社の宮司様も参加されました。

 

完成した道標と一緒に、皆さんと記念撮影しました^^ 実は筏師の道にはこうした石碑が昔から残っています。書かれている言葉のように「未来に残したい」という強い願いのもと、将来子どもや孫にも見てもらえるようにとの思いが込められています。ここは以前水害もあった場所なので、大雨などでも流れないよう、石碑の下はしっかり鉄筋を入れたコンクリートの基礎を施工しています。

 

裏には世話人の方のお名前や、そのほかの尽力されている方々のお名前も彫刻しています。私と妻の名前も彫らせていただきました^^

石はその丈夫さからとても長い間残っていくもので、こうした環境で記録を残すのに石に勝るものはないのではないかと思います。ご依頼いただいた世話人の方は、裏側にお名前を彫刻された方々のお子さんやお孫さんが、将来この道標に刻まれたお名前を見に来てくれるんじゃないかなあ?とおっしゃっていました^^ これからこの道標が100年、200年と残って、子や孫の世代だけでなく、その先の世代まで筏道の話が語り継がれていけばとても素敵なことですね! その一助として携わることができて、とても光栄でした。ありがとうございました。